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20世紀最大の環境破壊。-シルクロード横断編-

鳥肌が立つほど怖かった。

人間の怖さは底なしだ。
この時ほど、それを実感した時はない。

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町はゴーストタウンのようだった。

町の名前は『モイナク』。かつてこの地はアラル海の恩恵を受けながら、
保養所としての役割を果たしていた活気溢れる漁港の町であった。

アラル海とはウズベキスタンとカザフスタンにまたがる塩湖だ。
いや、湖だった場所と言うのが正しいか。

20世紀に始まった旧ソ連の自然改造計画により
今は、『死せる海』、『20世紀最大の環境破壊』などと呼ばれている。

この原因を作ったのがウズベキスタンの主力産業である綿花の栽培だ。
これには、大量の水を必要とするのだが、この水の確保のために
大規模な灌漑が行われた。そして、アラル海へ流れ込む水量は減少し
半世紀にも満たない期間でこの海は死んだのだ。

そして、このアラル海の死をきっかけに町は衰退の一途をたどり、
いまでは、正にゴーストタウンと化している。

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勿論、僕がこの町にきたのは、このアラル海をみるためだった。

モイナクのバスターミナル(バスターミナルとも呼べないような場所だが…)で
何時の時代から走っているかわからないような、おんぼろのタクシーを捕まえ
『船の墓場』と呼ばれる場所へ。

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バスターミナルから車で10分ほどの小高い丘の上にそれはあった。

観光客は誰も居ない。観光地というわけではなく、
申し訳無さそうにモニュメントと、アラル海を説明する
看板が数枚建っているだけの場所だった。

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そして、丘の先へ足を進めると…
目下一面に荒野が広がっていた。

断っておくが、この場所はもともと荒野だったわけではない。
ここにあった海は死んだのだ。

そこには、当時の漁で使われていた漁船数隻が
丁寧に並べられていた。

風の音しかしない中、目の前に出現したその景色に
ただただ、言葉を失うしかなかった。

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人間の可能性は無限大だ、とか、力を合わせれば出来ないことなんてない、とか
そんなありきたりな言葉が逆にしっくりくると言えばいいのだろうか。

なんだって出来るのだ。僕ら人間には。。。こんな大規模なことも、いとも簡単に。

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丘の上から階段が伸びでいたので、
ゆっくりと元アラル海だった場所を目指し降りていく。

心なしか塩に匂いがまだ残ってる気がする。
生物の姿は見受けられない。

かつては世界で4番目に大きな湖が合った場所だ。
ほんとに、怖かった。鳥肌が立つほどに。

 

それでも、僕はここに来てよかった。そう思った。

言葉なんかよりも大事なリアルを誰かに・未来に伝えることが出来るから…

 

–次回はウズベク・リーグ観戦

    Comments ( 2 )

  • coral

    ここにかつて世界第4位の規模の湖があったのですか。。。
    自然大改造計画ってこの姿を予想して進められたのでしょうか?
    人間が自然界をこんな風に変えるなんて、その傲慢さに今気がつかないと怖いですね。

    いつも面白い記事をありがとうございます。
    tuckさんの旅は拝見している私にとりましても唯一無二の貴重な経験になります。

    • tuck

      coralさん
      自然大改造計画(日本語訳が正しいかちょっと怪しいですが…)は、農業生産の向上や物流のための運河の建築
      などを目的とした計画のようです。なので、アラル海を枯らすため…という計画ではないですね。
      まぁ、当時は科学が自然を凌駕するという論理がソ連全体にあったようなので、大規模な灌漑による、デメリットを
      考慮しきれなかったようです。
      ほんとに、人間の傲慢さと言うのは怖いものですね。

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